ネレ&キャプテン 壁をこえて
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1989年11月10日、ニューヨーク。倉庫のベルトコンベヤーで荷物を分類しているネレは、目の前に映し出されるテレビニュースに目が釘づけになった。故郷のベルリンで壁が崩れたのだ。ブランデンブルク門の上に登ったり、瓦礫を手にしてブランデンブルク門を取り囲む若者の映像を見ながら、東ベルリンでのこと、彼女にとって初めての経験であり、命がけの大恋愛だった。7年前の自分自身の物語を回想する。1982年、西ベルリン。ネレは17歳。彼女の父親は壁ができる前に東ドイツから逃げてきた。ネレが一度も会ったことのない祖母の墓に立っていると、パンクミュージックが聞こえてくる。その方向には、数人の若者が激しく速い音楽にあわせながら、踊っていた。ネレはパンクのリーダー、キャプテンを一瞬見つめただけで、っかり彼の虜になってしまった。二人は東のこと、西のこと、政治そして少しだけ自分自身についても語り合う。来週の金曜日、彼がバンド仲間とシオン教会でコンサートを開く。コンサートは熱気で沸き立っていた。キャプテンは、反抗的なポーズたっぷりに挑発的な歌詞を歌う。ネレは、その映像を映した8ミリフィルムを西へ持ち出す役目を名のり出る。分断された町では彼らは会うことすらままならない。親戚訪問の名目で東ベルリンに行き、キャプテンと会っていたネレは、ある日、彼らの手入れに巻き込まれ、東ドイツから追放処分を受ける。キャプテンと会える希望が消えてしまった。だが、キャプテンが逮捕されたことを知ると、ネレは、密かにゴミ運搬船に潜り込み、東ベルリンに入り込んでいった。
- 公開日
- 2003年10月4日(土)
- 監督
- コニー・ヴァルター
- 撮影
- ペーター・ニクス
- 製作年
- 2001
- 製作国
- 独
- 原題
- NEVER MIND THE WALL
- 上映時間
- 102
- INTRODUCTION
- 政治状況のために引き裂かれた若者の恋を描いた、現代の<ロミオとジュリエット>。この映画の中で描かれた出来事の多くが、実際にあったことである。東ベルリンのパンクたちによる花輪をささげるデモンストレーションや、バンド「プランロース(Planlos)」も実在した。これらの出来事や、実際に当時起きていた出来事の詳細は、ナーチャ・ブルンクホルストとコニー・ヴァルターによって脚本に組み込まれたのである。監督は、『ラン・ローラ・ラン』のプロデューサーが新人女性監督コニー・ヴァルターを起用。そして『クリスチーネ・F』の主演女優ナーチャ・ブルンクホルストが脚本家デビューしている。製作したのは、トム・ティクヴァ監督の『ラン・ローラ・ラン』で、一躍世界ブランドとなり、ベルリンの映画シーンを牽引する<Xフィルメ・クリエイティヴ・プール>のプロデューサー、マリア・ケプフとシュテファン・アルント。アンナ・ベルトー、アントニオ・ヴァネク、ティム・ザンダーなど、東西統一後に思春期を送った新人若手俳優たちの初々しい演技は、観客に爽やかな印象を与えている。映画の全編に流れるのは、80年代パンクロック。音楽アドバイスを担当したのは、ベルリンで雑誌「Tip」の編集者をしているハーゲン・リービン。事実、80年代、東西のパンクたちが夢中になって聞いた曲だ。
- STORY
- 1989年11月10日、ニューヨーク。倉庫のベルトコンベヤーで荷物を分類しているネレは、目の前に映し出されるテレビニュースに目が釘づけになった。故郷のベルリンで壁が崩れたのだ。ブランデンブルク門の上に登ったり、瓦礫を手にしてブランデンブルク門を取り囲む若者の映像を見ながら、東ベルリンでのこと、彼女にとって初めての経験であり、命がけの大恋愛だった。7年前の自分自身の物語を回想する。1982年、西ベルリン。ネレは17歳。彼女の父親は壁ができる前に東ドイツから逃げてきた。ネレが一度も会ったことのない祖母の墓に立っていると、パンクミュージックが聞こえてくる。その方向には、数人の若者が激しく速い音楽にあわせながら、踊っていた。ネレはパンクのリーダー、キャプテンを一瞬見つめただけで、っかり彼の虜になってしまった。二人は東のこと、西のこと、政治そして少しだけ自分自身についても語り合う。来週の金曜日、彼がバンド仲間とシオン教会でコンサートを開く。コンサートは熱気で沸き立っていた。キャプテンは、反抗的なポーズたっぷりに挑発的な歌詞を歌う。ネレは、その映像を映した8ミリフィルムを西へ持ち出す役目を名のり出る。分断された町では彼らは会うことすらままならない。親戚訪問の名目で東ベルリンに行き、キャプテンと会っていたネレは、ある日、彼らの手入れに巻き込まれ、東ドイツから追放処分を受ける。キャプテンと会える希望が消えてしまった。だが、キャプテンが逮捕されたことを知ると、ネレは、密かにゴミ運搬船に潜り込み、東ベルリンに入り込んでいった。
- CASTING
- ●アントニオ・ヴァネク 芸術家や移民など、雑多な人々が暮らすアナーキーな地域クロイツベルクで育つ。21歳で有名なテレビ番組で豊富な出演歴があり、映画にも何本か出演している。本作でキャプテン役をチャーミングに演じ、女性ファンを魅了した。 ●アンナ・ベルトー ハンブルク生まれ。10歳のときにコマーシャルに出演したことがきっかけで、演技をすることに魅了される。以後テレビに何本か出演した後、『ネレ&キャプテン―壁をこえて』で映画デビューを飾る。